2年半付き合った彼女に振られた話

半年間、ずっと戦っていた資格試験に合格した。

仕事が終わってから毎日テキストを開いて、休日も図書館にこもって、正直なんども心が折れかけた。それがやっと終わった。受かった。開放感がすごかった。

その日の夜、自分へのご褒美にファストフードをテイクアウトして、家でひとり晩酌パーティーを始めた。好きなものを食べて、好きなだけ酒を飲んで。頑張った自分を自分で祝う、最高の夜だった。

気持ちよくなってきたところで、大学時代の友達に電話をかけた。「受かったわ」と報告したら、めちゃくちゃ喜んでくれて。そこから大学の頃の思い出話になり、今の仕事の話になり、くだらない話で笑い合って。酒も入って会話に花が咲いていた。

本当に、いい夜だった。

そんな時だった。

スマホの画面の上に、LINEの通知がぽんと表示された。彼女からだった。

「もうお別れしたいです」

一瞬、意味がわからなかった。

次の瞬間、胸の奥から心臓の鼓動が暴れ出して止まらなくなった。友達がまだ楽しそうに話しているのに、その声がどんどん遠くなっていく。頭の中が真っ暗になった。さっきまであんなに楽しかったのに、たった一行で世界がひっくり返った。

友達の話がひと段落したタイミングで、「ごめん、今LINEきて……振られたかもしれん」と伝えた。友達は空気を察して、「一回切るわ、なんかあったらいつでも連絡しろよ」と気を使ってくれた。

電話が切れた。部屋に静寂が戻った。

彼女は東京にいる。1年前から遠距離をしていた。すぐに会いに行ける距離じゃない。でも、じっとしていられなかった。この部屋に一人でいたら、どうにかなってしまいそうだった。

気がついたら家を飛び出していた。

向かったのは、家の近くにあるいつもの散歩コースだった。自然が豊かで、静かで、いつも気持ちを落ち着けたい時にふらっと歩きに来る場所。心がぐちゃぐちゃな時に、無意識に自分が安心できる場所に足が向いていた。

日はもう暮れていて、あたりは薄暗かった。

歩きながら、頭の中をぐるぐると同じ言葉が回り続ける。

何で?何がいけなかった?

2年半、一緒にいた。遠距離になってからも1年間、会えない寂しさを我慢して続けてきた。あんなにずっと一緒にいたのに。もう会えないのか。自分でも何が起きたのか、理解がまるで追いついていなかった。

彼女に理由を聞いた。

返ってきた言葉は、「このまま一緒にいる未来が見えない」「冷めちゃった」だった。

これがいちばんきつかった。

嫌いになったと言われた方がまだマシだった。ケンカが原因ならまだ戦えた。でも、「冷めた」には何も返せない。怒りをぶつける相手もいない。ただ、静かに終わりを突きつけられただけだった。

刃物で刺されるより鋭い、静けさだった。

自分の中にぽっかりと穴が空いていた。存在価値の一部がごっそりと抜け落ちたような、そんな感覚。さっきまで人生で一番いい夜だったはずなのに、今は人生で一番暗い夜の中を歩いている。

木々に囲まれた薄暗い散歩道の真ん中で、僕は立ち止まった。

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